2008 Fiscal Year Annual Research Report
男性ホルモン依存性転写活性化に対する多環芳香族炭化水素の抑制作用のメカニズム
Project/Area Number |
20790120
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
眞田 法子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 薬学部, 助手 (60411089)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 男性ホルモン |
Research Abstract |
ダイオキシン類や多環芳香族炭化水素類(PAHs)には、男性ホルモンに対する阻害作用、即ち、抗男性ホルモン作用がある。本研究では、PAHとして3-methylcholanthrene(3MC)を、男性ホルモンとして5α-dihydrotestosterone(DHT)を使用し、そのメカニズムについて解明を試みた。 まず、ヒト前立腺がん由来LNCaP細胞を、DHTを単独又はDHTと3MCの組み合わせで処置し、細胞における男性ホルモン受容体(AR)の発現量が3MCによって変化するか検討した。その結果、DHTで処置した細胞におけるARの発現量は、3MCによって変化しなかった。また、DHTによるARの核内移行に対する3MCの影響を検討したところ、3MCによる変化はみ照れなかった。以上の結果か照、3MCによる抗男性ホルモン作用は、ARの発現量や核移行量の減少によらないことが示唆された。 次に、細胞を3MCやDHTでそれぞれ単独又はDHTと3MCの組み合わせで処置した後核抽出液を調製し、抗AhR抗体を用いた共免疫沈降法により、ARとAhRが核内で複合体を形成しているか検討した。その結果、3MCを単独、またはDHTと3MCを組み合わせで処置した細胞では、抗AhR抗体との共免疫沈降物中にARが検出され、DHTと3MCを共処置した細胞では、3MCを単独処置した細胞に比べ、より多くのARが検出された。また、DHTを単独処置した細胞では、抗AhR抗体との共免疫沈降物中に、ARは検出されなかった。以上の結果から、DHTと3MCを組み合わせで処置した細胞では、AhRとARが複合体を形成していることが明らかになり、3MCによる抗男性ホルモン作用にAhRとARの複合体形成が関与していることが示唆された。
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