2009 Fiscal Year Annual Research Report
男性ホルモン依存性転写活性化に対する多環芳香族炭化水素の抑制作用のメカニズム
Project/Area Number |
20790120
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
眞田 法子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 薬学部, 助教 (60411089)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 男性ホルモン / 多環芳香族炭化水素 / アリル炭化水素受容体 / PIASxα |
Research Abstract |
環境中に存在する化学物質でヒトや野生動物の内分泌機能に障害を与える内分泌撹乱物質が大きな社会問題となっており、これまでにダイオキシンや自動車の排気粉じん中に多く含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)が転写制御因子であるアリル炭化水素受容体(AhR)を活性化することにより男性ホルモン依存性転写活性化を抑制することが報告されている。本研究では、その機構を明らかにすることを目的とし、男性ホルモン応答性ヒト腫瘍由来細胞を用いて研究を行った。男性ホルモンにより転写が活性化される代表的な遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)の転写調節領域上にはAhR結合配列であるXREが8カ所存在する。AhRのPSA遺伝子の転写調節領域への結合がPAHの抑制効果に影響を及ぼすか検討した。PSA遺伝子の転写調節領域上に存在するXREについて、1カ所または複数か所を削除した種種の転写調節領域を含むルシフェラーゼ発現プラスミドを用いたレポーターアッセイを行った。その結果、ある部分のXREを欠損したプラスミドを用いたアッセイでは、男性ホルモンによって誘導されたルシフェラーゼ活性がPAHによって減弱しなかったことから、PSA遺伝子の転写活性化に対するPAHの抑制作用に転写調節領域上のXREが関与していると示唆された。一方、男性ホルモンは男性ホルモン受容体(AR)に結合しその作用を発揮する。PIASxαは複合体を形成することによりARを不活性化するタンパク質の一つであり、PIASxαがPAHの抑制作用に関与している可能性が考えられる。そこで、siRNAによってPIAsxαをノックダウンしてPAHの抑制作用を検討したところ、PIASxαをノックダウンした細胞でもPAHの抑制作用が観察された。以上の結果から、PIASxαは男性ホルモン依存性転写活性化に対するPAHの抑制作用に関与していないと考えられた。
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