2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオエタノールから生産されるガソリン添加剤ETBEの免疫応答に与える影響
Project/Area Number |
20790122
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
八巻 耕也 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (00351768)
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Keywords | ETBE / バイオエタノール / 免疫 / T細胞 |
Research Abstract |
バイオエタノールから生産されるガソリン添加剤ETBEの免疫応答に与える影響について解析するために、ETBEのアジュバント作用について検討した。昨年度の研究により、抗原と1%ETBEの単回腹腔内投与では、ETBEはアジュバント作用を示さないことが明らかになった。そこで本年度は、ETBEの複数回腹腔内投与がアジュバント作用を示すか検討した。抗原である卵白アルブミンおよび1%のETBEを含む生理食塩水を腹腔内投与し、以後週5日、1%ETBE生理食塩水を腹腔内投与した。21日後、血清中の抗卵白アルブミンIgG量を測定した。その結果、卵白アルブミンのみを腹腔内投与したマウスの血清中の抗卵白アルブミンIgGレベルと比較して、卵白アルブミンを腹腔内投与し、複数回ETBEを腹腔内投与したマウスの血清中の抗卵白アルブミンIgGレベルが上昇することが明らかとなった。このことから、ETBEは持続的な曝露によりアジュバント作用を示す可能性が考えられた。今後、そのアジュバント作用のTh1/Th2/Th3/Tr1免疫応答それぞれに与える影響について、解析を続ける。 また、免疫応答と関連が深い肥満細胞の脱顆粒反応に対するETBEの影響についても解析した。その結果、1%ETBEは肥満細胞の脱穎粒反応を抑制した。これらのことから1%ETBEは生体機能に影響を及ぼすことが示唆されたが、1%という濃度は一般的なETBE曝露レベルより低いため、通常生じうるETBEの曝露がヒトの免疫系に影響を与える可能性は低いと考えられた。
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