2008 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウムの細胞輸送における亜鉛輸送体とカルシウムチャネルのクロストーク
Project/Area Number |
20790123
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
藤代 瞳 Tokushima Bunri University, 薬学部, 助教 (10389182)
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Keywords | カドミウム / 輸送体 / ZIP8 / カルシウムチャネル / 亜鉛 / DMT1 / メタロチオネイン / 耐性 |
Research Abstract |
MT遺伝子を発現するマウス胎仔由来細胞P^+から高濃度のCdに耐性を示す耐性細胞(A^+70、B^+70)を樹立し、様々な金属に対する細胞毒性と金属輸送について解析した。A^+70、B^+70におけるCdのLD50は約200μMでありP^+の約7倍の耐性を示した。MTの発現はA^+70、B^+70において。mRNAレベル及び蛋白レベル共に著しく上昇した。しかし、A^+70、B^+70の細胞内Cd蓄積量(24時間後)、および、Cd取り込み速度(1時間後)はP^+に比べて減少していた。A^+70、B^+70ではZn輸送体ZIP8、2価鉄輸送体DMT1および電位依存型CaチャネルのうちL-type(Cacnα_<1C>),T-type(Cacnα_<1G>)のチャネルのサブユニットの発現が低下していた。Cdの排泄は、培地をCd-freeにして1日後にはA^+70、B^+70で若干亢進したが、7日後にはほとんど差がなくなった。Znを細胞外へ排泄する輸送体であるZnT1は培地にCdが存在するとmRNAレベルで著しい上昇を示したが、膜画分の蛋白レベルはほとんど変化を示さなかった。一方で、Ca channelのうち、L-type(Cacnα_<1C>),T-type(Cacnα_<1G>)のチャネルのサブユニットの発現が低下していた。これまでの報告で、ZnT-1とCaチャネルがクロストークしており、ZnT-1の発現上昇でCa流入が低下することが報告されているが、本細胞においてはこのようなクロストークがあるかどうかは今後さらに検討が必要である。ZnT1の高発現がCd排泄のわずかな増加と連動していたが、因果関係についてはさらに検討が必要である。以上のことから、MT遺伝子が発現しているCd耐性細胞においても、MTの発現亢進のみならず、Cdの取り込みの抑制、排泄の亢進もCd耐性獲得に関与すると考えられる。 今後、Cd輸送機構についてさらに検討していく必要がある。
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