2009 Fiscal Year Annual Research Report
日和見感染菌の病原性発現に関与する鉄獲得機構の解析
Project/Area Number |
20790124
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
舟橋 達也 Matsuyama University, 薬学部, 准教授 (60343646)
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Keywords | 鉄 / シデロフォア / 細菌 / 日和見感染菌 / バイオフィルム / acinetobactin |
Research Abstract |
Acinetobacter baumanniiは尿路感染の原因菌として分離され、抗生物質多剤耐性化が同題となつしいる日和見感染菌の-つであり、本菌の生存、増殖にも鉄(イオン)は必須である。本菌は鉄欠乏に応答してcinetobactinと呼ばれるシデロフォア(三価鉄輸送キレーター)を産生し、特異的な鉄制御外膜受容体を介して鉄を取り込む。鉄獲得系と病原性発現との関連をバイオフィルム形成を指標として鉄制御外膜受容体発現とシデロフォア生合成の点から検討した。バイオフィルム形成はクリスタルバイオレットで染色し、洗浄、可溶化後、580nmでの吸光度測定により評価し。A. baumanniiATCCI9606株は鉄キレート剤であるジピリジル存在下、LB培地で30℃、12時間培養した場合、ジピリジル非存在下と比較して細菌数当たりのバイオフィルム形成が増加した。合成培地の場合でも鉄キレート剤存在下ではバイオフィルム形成が増加し、塩化鉄溶液の添加によりバイオフィルム形成が減少したことから本菌のバイオフィルム形成に鉄濃度が重要であることが示唆された。また、シデロフォア生合成酵素変異株の場合は細菌数当たりのバイオフィルム形成が減少したが、シデロフォアに対する受容体変異株の場合には細菌数当たりのバイオフィルム形成が増加した。このことから、本菌のバイオフィルム形成において鉄とacinetobactinは重要な因子であり、acinetobactinはバイオフィルム形成を促進する作用のあることが示唆された。
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