2009 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症薬の副作用回避ストラテジーの構築~新規薬物相互作用の解明~
Project/Area Number |
20790126
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 正紀 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (70431319)
|
Keywords | 薬学 / 臨床 / 薬物相互作用 / トランスポータ / スタチン |
Research Abstract |
本研究では、核内受容体LXR(liver X receptor)に着目し、高脂血症薬スタチンにより変動する生体内LXRアゴニストが薬物動態に関わるトランスポータに与える影響を明らかにすることを目的とした。トランスポータとして異物排出に寄与するMRP2,P-gp,BCRPを選択し、8種のスタチン投与による発現変動および基質となる薬物の動態変動を解析することにより、これらトランスポータを介した相互作用を回避できると考えた。まずスタチンが肝臓でのトランスポータ発現に及ぼす影響およびその制御機構の解明を目的に種々検討を行った。その結果、HepG2細胞およびラット肝臓においてスタチン曝露によりMRP2,P-gp,RCRPmRNAおよび蛋白質発現が誘導されることを見出した。またスタチン間でトランスポータに及ぼす影響は異なることが明らかとなった。さらにLXRアゴニストおよびsiRNAを用いた検討により、スタチンによるMRP2誘導メカニズムにLXRが関与していることを明らかにした。一方でP-gp,BCRPはLXRによる調節を受けないことが示された。次にスタチンが核内受容体LXRに及ぼす影響を検討した。スタチン曝露後のLXRの核への移行を免疫染色により検討したところ、核移行を促進し、LXRを活性化することを明らかにした。 以上、本検討によりスタチンの投与が肝臓からの薬物排出に寄与するトランスポータを誘導したことから、基質となる薬物の効果減弱の可能性が示唆された。またスタチン間で変動の程度が異なることから、併用薬に応じたスタチンの選択が重要になると考えられた。今後は、MRP2の機能面に及ぼす影響および詳細か機構を明らかにすることでスタチン投与時の薬物動態変動を予測することが可能となり、スタチンの適正使用につながると考えられる。 さらに薬物-薬物相互作用を考察する上で重要な知見になることが想定される。
|
Research Products
(2 results)