2008 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎治療効果の鍵を握る肝・腎リバビリン輸送機構の解明とその個人差
Project/Area Number |
20790128
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
降幡 知巳 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80401008)
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Keywords | リバビリン / C型肝炎 / 核酸トランスポーター / 種差 / 個人差 |
Research Abstract |
リバビリンはC型肝炎治療に必須の薬剤である。リバビリンの標的細胞は肝細胞であるが、これまでにリバビリンの肝取り込み機構は詳細に解析されていない。本年度はマウス・ラット・ヒトにおいてリバビリン肝細胞取り込みを担うトランスポーターの同定を目的とし、遊離肝細胞を用いて検討をおこなった。その結果、マウスではおもにequilibrative nucleoside transporter 1(ENT1)が、ラットではENT1に加えconcentrative nucleoside transporter 2(CNT2)がリバビリンの肝細胞取り込みに寄与することが明らかとなった。一方、ヒト肝細胞2検体を解析したところ、ヒトではENT1が主な肝細胞リバビリン輸送体であったが、CNT分子種以外の輸送体によると考えられるNa^+依存性の取り込み活性も認められた。また、ヒト肝細胞2検体間においてENT1によるリバビリン取り込み活性には差異が認められ、これは両検体におけるENT1 mRNA発現量の差異と一致していた。 以上の結果より、リバビリンの肝細胞取り込み機構には大きな種差が存在することが明らかとなった。この結果は動物実験から得られた結果とヒトで得られた知見を比較するにあたり重要な知見であると考えられた。またヒトではENT1 mRNA発現量の個人差に起因する肝細胞リバビリン取り込み活性の個人差が存在することが明らかとなった。リバビリン取り込み活性の個人差はリバビリンの薬効発現に個人差を生じる可能性が考えられることから、今後この個人差の要因をさらに明らかとしていく必要があると考えられた。
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