2009 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎治療効果の鍵を握る肝・腎リバビリン輸送機構の解明とその個人差
Project/Area Number |
20790128
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
降幡 知巳 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (80401008)
|
Keywords | リバビリン / C型肝炎 / 核酸トランスポーター / 種差 / 個人差 |
Research Abstract |
リバビリンはC型肝炎治療に必須の薬剤であり、本研究課題ではリバビリンの肝・腎における細胞内取り込み機構の同定とその個人差を解明することを目的としている。前年度は肝におけるヒト肝リバビリントランスポーターを同定し、そのmRNA発現量に個人差が存在することを明らかとした。そこで本年度はこのリバビリントランスポーターであるSLC29A1遺伝子の発現調節機構を解析した。その結果、SLC29A1遺伝子には4つのオルタナティブプロモーター領域と12種のmRNA分子種が存在すること、さらにヒト肝細胞3検体間においては3つ目のプロモーター(P3)より転写されるmRNA分子種発現量に5倍以上の個人差が存在することが明らかとなった。また本年度はヒト腎におけるリバビリントランスポーターの解析もおこない、近位尿細管内皮細胞にはconcentrative nucleoside transporter 3(CNT3)が高く発現すること、またMDCK細胞に発現させたCNT3は二相性のプロファイルを持ってリバビリンを細胞内に取り込むことを明らかとした。 以上の結果より、ヒト肝細胞リバビリン取り込み活性の個人差は、SLC29A1遺伝子のP3より転写されるmRNA分子種の発現量の差に起因するものと考えられた。また腎ではCNT3がリバビリンの尿細管内皮細胞取り込みに関与するものと考えられた。SLC29A1遺伝子発現量の個人差はリバビリン肝取り込みに個人差を生じること、またCNT3の発現量および機能の個人差はリバビリン血中濃度に個人差を生じることによりそれぞれリバビリンの薬効発現に個人差を生じる可能性が考えられることから、これら個人差を生じる遺伝的・環境的要因を明らかとする必要があると考えられた。
|