2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内トラフィッキング制御に基づいた骨粗鬆症治療の可能性検証
Project/Area Number |
20790129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 雅 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (60401072)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / RANKL / トラフィッキング / リソソーム / Vps33a / Class C Vps complex / 分泌 |
Research Abstract |
骨芽細胞表面に局在するRANKL発現量はシグナル入力強度を決定し、生体における骨吸収レベルを左右する主要因であると考えられるにも関わらず、RANKLの骨芽細胞内挙動とその制御機構の解明は全く進んでいなかった。我々はこの点に着目し、RANKL挙動とその制御因子の探索を細胞系を用いて行りた。その糖細胞においては、ゴルジ体で新規合成されたRANKLの大部分はVps33a依存的にリソソームへと輸送・蓄積されており、細胞膜表面の局在量は僅かであること、およびこの細胞膜表面に局在する少量のRANKLはRANKとの相互作用に伴って骨芽細胞内にリバース・シグナルを伝達するシグナル受容分子としても機能し、このリバース・シグナルによって、リソソームに蓄積されているRANKLの細胞膜表面への放出がトリガーされること、などを見出した。加えて、骨芽細胞に発現するRANKLデコイ受容体OPGは従来、細胞外に分泌された後に細胞膜表面のRANKLと結合することでシグナル伝達を調節していると考えられてきたが、実際には大部分のRANKLはゴルジ体までのタンパク質合成段階で既にOPGと相互作用しており、OPGと複合体を形成したRANKLがVps33aとの相互作用を介してリソソームへの選別輸送を受けていること、およびOPGのRANKL選別輸送制御機能は、デコイ受容体としての機能と同程度あるいはそれ以上に、破骨細胞活性化抑制に寄与していることも明らかとなった。さらに、RANK刺激依存的なRANKL放出過程を制御する分子の探索も行い、低分子量Gタンパク質であるRab27a/bおよびそのエフェクター分子Slp4-a,Slp5,Munc13-4が、RANKLの局在する分泌型リソソームの細胞膜表面への融合過程を制御することが見出された。Munc13-4機能欠損Jinxマウスの骨表現型を解析したところ、野生型に比較して有意な破骨細胞数の減少と骨量増加が観察され、RANKL骨芽細胞内挙動制御機構が、生体レベルでも骨恒常性維持に寄与していることが示された。
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