2008 Fiscal Year Annual Research Report
ピーク・トラフ2点採血デザインによる連投薬物動態試験の精能評価と臨床応用
Project/Area Number |
20790130
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田口 雅登 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 講師 (20324056)
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Keywords | 2点採血デザイン / 経口クリアランス / 臨床薬物動態試験 / カルベジロール / 心不全 / CYP2D6 |
Research Abstract |
医薬品を適正に使用するにあたっては、臨床薬物動態特性と個体間変動機構を明らかにし、患者個々に投与設計を行うことが必要である。一方、薬物個別投与設計を遂行する上で不可欠であるにも拘わらず最も企画と実施が困難なものの一つは、実際に薬を服用している患者を対象とした臨床薬物動態試験である。すなわち、若年健常者と種々の疾患を有する小児や中高年患者では薬物動態が異なる可能性があるため、実際に薬剤を服用している患者を対象として薬物動態試験を行う事が望まれる。しかし、一人の患者から速度論的解析に耐えるほど数多くの血中薬物濃度データを得ることは多くの場合困難であることに加え、市販後に一施設で行う臨床薬物動態試験では、対象患者が多くても数十人に限られる。このような場合、従来の速度論的解析法は適用が難しく、臨床試験の成否の目処を立てることが困難であった。最近申請者は、薬剤を繰り返し服用中の個々の患者に対して2点のみの採血を行い、血中濃度のピーク値(C_<peak>)とトラフ値(C_<trough>)を解析する事によって、薬物血中濃度曲線下面積(AUC)と経口クリアランス(CL/F)を簡便に推定する方法を考案した。そこで本研究では、カルベジロールを服用している実際の心不全患者を対象として、2点採血デザインによる連投薬物動態試験を企画・実施した。その結果、心不全患者群ではR-,S-カルベジロールのCL/Fの平均値がそれぞれ0.89、1.52L/h/kgと算出され、以前に我々が若年健常者より得た値と比べて著しく低い事が明らかとなった。また、心不全患者では健常者の場合とは異なり、チトクロームP450(CYP)2D6の遺伝子多型に起因するCL/Fの個体間変動が小さいことも明らかとなった。これらの結果はカルベジロールの投与設計を行う上において重要な知見であると考えられた。
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Research Products
(4 results)