2009 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子多型解析に基づく小児白血病化学療法時の副作用発現の予測と機序解明
Project/Area Number |
20790135
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
中村 任 Himeji Dokkyo University, 薬学部, 教授 (80379411)
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Keywords | 小児白血病 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
急性リンパ性白血病(ALL)に対しては、数種類の抗がん剤やステロイド剤などを組み合わせた化学療法は80%以上の奏功率を示す。一方で、プロトコールに従い治療を行うものの、抗がん剤に起因する重篤な肝機能障害や血液毒性などの副作用がしばしば認められ、その程度は患者個々に大きく異なることから、個人差を考慮した副作用の発現予測ならびにその発現メカニズムの解明がALL治療を進めていく上で極めて重要である。前年度は、ALL維持療法中の患者を対象として重篤な肝障害発現の有無によって「肝障害群」と「対照群」に分け、遺伝子多型との相関解析を行った結果、10箇所の遺伝子多型が肝障害発現を予測する上で有用であることが示唆された。本年度、さらに解析を進めたところrs1966862、rs13424027、rs1156304、rs10255262、rs7403531、rs381423が候補遺伝子多型と考えられた。このうちデータベースに基づく情報解析を行ったところ、その遺伝子発現部位や薬剤性肝障害発現との関連性からRho GTPase-activating protein 24 (ARHGAP24)とRAS guanyl releasing protein 1(RASGRP1)が肝障害発現予測に有用と考えられた。次に、14種類のヒト癌由来培養細胞より抽出したDNAを対象として候補遺伝子多型について解析を行ったところ、RASGRP1、PARD3B、ARHGAP24の順に多型の発現頻度は小さかった。一方、HepG2細胞などの肝由来細胞では多型を認めず、多型が遺伝子の安定性に与える影響を考慮せずに薬剤感受性を評価できる細胞系と考えられた。今後は細胞の持つ遺伝子型を考慮して薬剤感受性および遺伝子発現の変動について解析を進める予定である。
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Research Products
(4 results)