2009 Fiscal Year Annual Research Report
リウマチ患者の生活の質向上を目指したオーダーメード薬物療法の開発
Project/Area Number |
20790140
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
林 秀樹 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (00419665)
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Keywords | 関節リウマチ / メトトレキサート / オーダーメード医療 / 遺伝薬理学 / TDM |
Research Abstract |
慢性疾患である関節リウマチ(RA)は、完治することは困難であり、生涯にわたって治療を必要とすることが多い。進行したRAでは関節の可動性が失われ、特に高齢患者においては寝たきりとなることも少なくない。RA患者のQOLを向上させるためには、罹病早期から適切な治療を行い、RAの進行を遅らせることが重要である。Methotrexate (MTX)は優れた抗RA薬として広くRA患者に用いられてきたが、副作用を否定できない死亡例も報告されている。また、MTXは薬効や副作用の発現において個人差が大きな薬物の一つである。 平成21年度は、前年度に引き続き、MTXの抗炎症効果の指標としてCRPに対する葉酸代謝系タンパクの遺伝子の一塩基多型(SNPs)を含む生体内因子の影響を評価した。RFC 80AA遺伝子型とGCH-401Tアレルを持つ患者ではGGH-401Tアレルを持たない患者より、MTXへの反応が減弱していることを明らかにした。 また、MTXの標的分子であるDHFRをコードする遺伝子のイントロン1に存在する19 bp deletionの多型が日本人では、他の民族と比較して、deletion型が多いことを明らかにした。この19 bpの配列には転写因子Sp1の結合部位が含まれており、deletion型ではDHFRの発現が低下していることが報告されている。今回得られた結果は、日本人RA患者においてMTXの薬効・副作用を予測する上で、重要な情報となることが考えられる。
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