2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクロレイン及びその産生酵素測定による脳梗塞診断マーカーの開発研究
Project/Area Number |
20790143
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
富取 秀行 Chiba Institute of Science, 薬学部, 講師 (30337381)
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Keywords | ポリアミン / アクロレイン / ポリアミンオキシダーゼ / バイオマーカー / 脳梗塞 |
Research Abstract |
脳梗塞は早期発見・早期治療が必要な疾患であり、脳梗塞の診断にはCT・MRI等の画像診断が一般的である。その精度・感度は著しく向上しているが、画像診断では患者状態の制約やコストパフォーマンス等の問題がある。従って、より簡便に、精度良く、低コストで脳梗塞を診断できる手段が必要である。我々は血中のアクロレイン量と脳梗塞の重症度との相関を示し、アクロレインが脳梗塞の生化学マーカーとして極めて有用であることを示した。本研究では、尿中のアクロレインを簡便に測定できるシステムの構築を検討し、またアクロレインの毒性作用機構について分子レベルでの解明を試みた。 1.アクロレインは生体内でcarboxyethylmercapturic acid(CEMA)と3-hydroxypropylmercapturic acid(HPMA)に代謝され、尿中に排泄されることから、これらに対する抗体の作製を試みた。ウサギを用いてHPMA及びCEMAに対するポリクローナル抗体を作製することに成功し、現在、ELISAのシステムを構築中である。 2.アクロレインは過酸化水素に比べ極めて細胞毒性が強い化合物である。しかし、その毒性作用機構は不明な点が多いため、分子レベルで毒性作用機構の解明を試みた。マウス乳がん細胞FM3Aに変異を導入し、アクロレイン添加培地で数ヶ月培養することで、アクロレイン耐性細胞ATM-1を樹立した。ATM-1はFM3Aに比べ、細胞内のグルタチオン(GSH)含量及びGSH合成の律速酵素であるγ-グルタミルシステインシンターゼ(γ-GCS)の発現量を2倍にすることで、アクロレイン耐性を獲得したことを明らかにした。またγ-GCSのmRNA及びゲノム配列を確認したところ、FM3Aのγ-GCS遺伝子が元々ヘテロで存在していることが明らかとなり、ATM-1はその復帰変異であることを示した。
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