2010 Fiscal Year Annual Research Report
昇圧療法による抗癌薬封入リポソーム製剤の腫瘍内送達
Project/Area Number |
20790146
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (90350222)
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Keywords | 昇圧化学療法 / リポソーム / 抗がん薬 / アンギオテンシンII / がん治療 / 腫瘍ターゲティング / EPR効果 / がん薬物送達システム |
Research Abstract |
本研究課題において、アンギオテンシンII(AT II)による一過的な昇圧により腫瘍内血流量を増加させ、抗がん薬封入リポソーム製剤を高効率に腫瘍内に集積させるシステムを開発する。昨年度、ドキソルビシン(DXR)を封入したPEG修飾リポソーム製剤をAT IIによる昇圧下で投与することにより、DXRの抗腫瘍効果を高めることが出来ることを見出した。そこで本年度は、腫瘍内血流量の多いマウス大腸癌C26腫瘍と腫瘍内血流量が少ないマウス肺癌LLC腫瘍の担がんマウスを用いて、AT IIによる昇圧下で投与されたDXR封入PEG修飾リポソーム製剤の腫瘍内局在と腫瘍内集積量の検討を行った。AT II昇圧下で担がんマウスに投与されたPEG修飾リポソーム製剤によるDXRの腫瘍内集積量をHPLCを用いて定量したところ、どちらの腫瘍においても非昇圧下で投与されたものと比較して有意な集積量の増加は観察されなかった。しかしながら、AT II昇圧下で投与後のリポソームとDXRの局在を調べるために、腫瘍切片を作成し蛍光顕微鏡で観察したところ、AT II昇圧下で投与した蛍光標識リポソームならびにDXRの局在は、どちらの腫瘍においても腫瘍血管から離れた部位で観察されたのに対し、非昇圧下のものは主に腫瘍血管近傍で観察された。このことより、AT IIによる昇圧下で投与されたリポソーム製剤は、腫瘍の血流量の違いに関わらず、腫瘍深部に抗がん薬を送達させることで高い抗腫瘍効果を誘導できるものと考えられた。
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