2008 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞薬剤耐性への単分子輸送活性に基づく個別トランスポーターの寄与率の解明
Project/Area Number |
20790148
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
上家 潤一 Azabu University, 獣医学部, 講師 (10400269)
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Keywords | 白血病 / 薬剤耐性 / トランスポーター / 質量分析計 / タンパク質定量 |
Research Abstract |
本研究課題では、白血病の薬物耐性獲得における薬物トランスポーターの寄与をタンパク質定量プロファイルに基づいて定量的に解明することを目標としている。本年度実施研究において、白血病の薬剤耐性獲得に重要な関与が示唆されるABCトランスポーター8分子(ABCB1, ABCC1, ABCC2, ABCC3, ABCC4, ABCC5, ABCC6, ABCG2)を対象に質量分析計を用いたタンパク質同時定量法を開発した。開発した定量法は10fmolからlpmol/assayの高感度かつ広範囲な定量法であり、申請書記載の初年度技術目標を達成している。本定量法を用いることで、これまで困難であった難溶性細胞膜であるABCトランスポータータンパク質の同時定量解析が可能となった。本定量法を用いて、ヒト白血病細胞株であるVincristine感受性および耐性K562細胞の細胞膜のABCトランスポータープロファイルを測定した。高圧窒素充填法と密度勾配遠心法を用いて調整した細胞膜試料を測定した結果、耐性株においてABCB1タンパク質発現量が感受性株の40倍増加していることが明らかになった。ABCB1以外にvincristineを基質とするABCC1, ABCC7の発現量は変化しておらず、vincristine耐性の獲得にはABCB1が重要な役割を担っていることが示唆された。本年度開発した質量分析計を用いたトランスポータータンパク質同時定量法は、白血病を含む癌細胞の薬剤耐性メカニズムの解明に大きく寄与することが期待できる。
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Research Products
(23 results)