2009 Fiscal Year Annual Research Report
導入遺伝子の発現制御による抗癌剤の副作用軽減に関する研究
Project/Area Number |
20790152
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
木下 淳 Himeji Dokkyo University, 薬学部, 助教 (60454766)
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Keywords | 抗悪件腫瘍薬 / 遺伝子発現制御 / CMVプロモーター / フリーラジカルスカベンジャー / 活性酸素種 |
Research Abstract |
これまでの遺伝子治療の課題の一つとして、導入遺伝子の発現調節が挙げられている。すなわち、現段階では目的遺伝子を局所ならびに全身に送達することは可能であっても遺伝子導入後にその発現量を制御できず、治療の最適化を行うという段階までには至っていないのが現状である。平成20年度は、cytomegalovirus(CMV)プロモーター駆動性遺伝子の発現量が特定の抗悪性腫瘍薬によって誘導されることを明らかとした。そこで平成21年度は、抗悪性腫瘍薬負荷による導入遺伝子の発現誘導と活性酸素種との関連性をより詳細に検討するため、平成20年度に樹立したCMVプロモーター駆動性遺伝子導入細胞であるFR-pQBI25細胞へ抗悪性腫瘍薬とフリーラジカルスカベンジャーを共負荷した際の導入遺伝子発現量の変動について解析した。すなわち、1.0×10^6cellsのFR-pQBI25細胞を10mm culture dishに播種し、24時間培養後に培地を置換し、フリーラジカルスカベンジャーとしての機能を有するN-アセチルシステインあるいはエダラボンを添加して2時間プレインキュベーションした。その後、種々の抗悪性腫瘍薬を添加した。この48時間後に細胞を回収し、細胞内rsGFPmRNA転写量およびrsGFPタンパク量を測定した。その結果、FR-pQBI25細胞へのドキソルビシンおよびパラコート負荷によって、rsGFP mRNA転写量およびrsGFPタンパク量が強く誘導され、フリーラジカルスカベンジャーの共負荷によってその一部が抑制された。また、FR-pQBI25細胞への5-フルオロウラシル負荷によってもrsGFP mRNA転写量が誘導されたが、フリーラジカルスカベンジャーの共負荷による誘導効果の抑制は見られなかった。さらに、メトトレキサートは、CMVプロモーター駆動性遺伝子の発現量に変化をおよぼさなかった。以上の結果から、抗悪性腫瘍薬によるCMVプロモーター駆動性遺伝子の発現制御機構の一部に、抗悪性腫瘍薬から従属的に発生する活性酸素種が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)