2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790155
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
小林 弥生 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 研究員 (00391102)
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Keywords | ヒ素 / 代謝 / 解毒 / 酸化還元状態 / メチル化 / HPLC-ICP-MS / LC-MS |
Research Abstract |
ヒ素はその化学形によって、細胞内への取り込み、排泄、毒性などが大きく異なる。ヒ素の毒性発現および解毒機構を明らかにするためには、ヒ素代謝物の化学形をできるだけ正確に分析し、出発物質のみならず、代謝物も含めた毒性評価を行う分析毒性学的研究が必要不可欠となる。当該研究は、ヒ素の代謝と体内動態を分析学的、毒性学的手法を用いて明らかにし、ヒ素の毒性軽減および毒性発現機構について、生体内におけるヒ素の酸化還元状態とメチル化という観点から解明することを目的としている。 昨年度の結果から、GGTの阻害剤をラットに投与した際、尿中にヒ素-グルタチオン抱合体(As-GSH)が検出されることが分かった。そこで、本年度は各As-GSH抱合体の赤血球への取り込みについて調べた。また、ラットにヒ素を投与すると、MRP2/cMOATを介して胆汁中にAs-GSH抱合体が排泄されることが報告されているが、腸管から吸収されたAs-GSH抱合体の体内動態は明らかとなっていないことから、As-GSH抱合体の腸管吸収に関する実験計画をたてた。 赤血球への取り込みに関する実験からは、ジメチルヒ素およびモノメチルヒ素のGSH抱合体が無機ヒ素のGSH抱合体と比較し、迅速に赤血球に取り込まれていることが分かった。 As-GSH抱合体の腸管からの取り込みに関する実験では、無機ヒ素のGSH抱合体がモノメチルヒ素のGSH抱合体と比較し、吸収率が高い傾向にあったが、個体差が大きいことが分かった。このことから、ヒ素の吸収はヒ素の化学形のみならず、腸内細菌によるヒ素の代謝も関与することが示唆された。
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