2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞へのリソソームカテプシンD再取り込み機構の解析
Project/Area Number |
20790162
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柴田 昌宏 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (10343253)
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Keywords | カテプシンD / ライソゾーム病 / ミクログリア / NCL / セロイドリポフスチノーシス |
Research Abstract |
カテプシンDは代表的なリソソームプロテアーゼであり、ほぼ全ての組織細胞に局在している。カテプシンD遺伝子はライソゾーム病の1つである神経性セロイドリポフスチノーシスの原因遺伝子の1つとして同定され、同遺伝子欠損マウスがそのモデル動物となっている。しかし、カテプシンD欠損マウスや他のライソゾーム病では免疫系にも異常が認められることから、同疾患の発現が、神経系由来なのか、免疫系の異常による2次的な要因によるものなのかははっきりしなかった。そこで中枢神経特異的カテプシンD欠損マウスを作成し解析したところ、同マウスはメンデルの法則に従って誕生し、生後約15日頃までは体重の増加が認められ、その後、目立った増減がなく生後約40日前後で神経性セロイドリポフスチノーシス同様の症状を呈して死亡することが明らかとなった。同マウスの神経細胞ではカテプシンDの遺伝子発現がないにもかかわらず、ミクログリアや一部のアストロサイトにカテプシンDタンパクが発現していることが分かった。活性化ミクログリアが一酸化窒素を放出することが知られているので、一酸化窒素の合成を抑制することで、神経性セロイドリポフスチノーシスの傷害を軽減出来る可能性を示唆している。また、ライソゾーム病の治療には主に酵素補充療法と骨髄移植があり、ある程度の効果が得られている。しかし、血液脳関門の存在により中枢神経系に対しては有意義な効果を得るに至っていないのが現状である。同マウスを利用し、その病態を解明することで、ライソゾーム病の治療に貢献出来るもとと期待できる。
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