2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞へのリソソームカテプシンD再取り込み機構の解析
Project/Area Number |
20790162
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柴田 昌宏 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (10343253)
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Keywords | カテプシンD / ライソゾーム病 / トランスポゾン / セロイドリポフスチノーシス |
Research Abstract |
リソソーム酵素が先天的に欠損または機能不全に陥ると、ライソゾーム病とよばれる先天性代謝異常疾患(特定疾患に指定)になる。ムコ多糖症、ボンベ病、バッテン病、I-cell病など、現在約30種類の疾患が報告されており、欠損する酵素によってその症状は異なるが、本来リソソームで分解されるべき基質(糖、脂質、タンパク質など)が蓄積するということが共通している。ライソゾーム病の治療には酵素補充療法と骨髄移植が知られており、リソソーム酵素が細胞へ取り込まれることによってある程度良好な効果が得られている。しかし、リソソーム酵素が血液脳関門を越えることが出来ないため、中枢神経系に対しては有意義な効果を得るに至っていないのが現状である。言い換えると、リソソーム酵素が血液脳関門を越えて神経細胞へ到達出来れば、ライソゾーム病が克服されると予想される。 我々が作成した神経系特異的カテプシンD欠損マウスは、神経細胞でカテプシンD遺伝子の発現が無いにもかかわらず、有意にタンパク質が局在していることが明らかになった。このことは、神経細胞ヘリソソーム酵素が輸送される経路が存在することを示している。本年度は、リソソーム酵素の輸送経路を観察しやすいモデル生物の構築を行った。鶏胚は遺伝子導入が非常に容易であるが、長期間・安定的に遺伝子発現を保持することが出来なかった。そこで、メダカ由来のTol2トランスポゾンを用いることによって、発生初期から生後まで、長期間安定的に遺伝子を発現させることに成功した。このモデルシステムを用いることによって、リソソーム酵素の輸送経路の解明が出来るものと期待出来る。
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