2008 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体ホルモン産生細胞の機能亢進・過形成・腫瘍化におけるレチノイン酸合成の動態
Project/Area Number |
20790165
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤原 研 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (00382945)
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Keywords | 下垂体 / レチノイン酸 / 腫瘍 / 細胞間相互作用 / パラクライン / オートクライン |
Research Abstract |
本年度はラット下垂体前葉で発現するレチノイン酸受容体遺伝子をクローニングし、エストロゲン誘発プロラクチノーマモデルラットを用いて下垂体でのレチノイン酸合成酵素であるRALDH1の発現動態を検討した。 1. 下垂体で発現しているレチノイン酸受容体(RARα、β、γ、RXRα、β、γ)をRT-PCRにより増幅し、クローニングした。リアルタイムPCRにより発現量を定量したところすべての受容体サブタイプ遺伝子の発現が見照れたが、RARαが最も高い発現パターンを示した。 2. 正常成獣ラット下垂体前葉でのRALDH1発現細胞をin situ hybridization法および免疫組織化学を用いて同定し、その結果mRNAとタンパク質ともにプロラクチン細胞と濾胞星状細胞に局在することが明らかになった。 3. エストロゲン高感受性ラットであるLEXFラットにdiethylstibestroi(DES)を詰め入れたチューブを皮下に埋め込みプロラクチノーマを誘発した。DES処理1ヵ月で既に著しい下垂体の肥大がみられ、3ヶ月では血腫を伴うプロラクチノーマが形成された。リアルタイムPCR法によりRALDH1のmRNA発現がDES処理1週間で著しく減弱していることが分かった。さらに、プロラクチン細胞で産生されたRALDH1はDES投与により減弱するが、濾胞星状細胞のRALDH1発現はプロラクチノーマにおいても維持されることが分かった。 エストロゲン誘発プロラクチノーマでは腫瘍が形成されるとともにRALDH1の発現が減少することから下垂体前葉局所で産生されるレチノイン酸は腫瘍形成に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)