2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の減数分裂における相同染色体の対合とそのチェックポイントの分子機構
| Project/Area Number |
20790169
|
|---|
| Research Institution | Fujita Health University |
|---|
Principal Investigator |
向後 寛 Fujita Health University, 総合医科学研究所, 助教 (20282387)
|
|---|
| Keywords | 減数分裂 / チェックプイント / 対合 / ノックアトマウス / 不妊 / 雌雄差 / 無精子 / 流産 |
|---|
| Research Abstract |
本研究では、ヒトの不妊症、不育症の原因遺伝子を探索する基礎的知識として、哺乳類の減数分裂時の染色体動態やそのチェック機構に関与する新規遺伝子の同定とその分子機構の解明を目指している。候補遺伝子のひとつとして、酵母の減数分裂に必須なHop1遺伝子の哺乳類ホモログと考えられる機能未知遺伝子HORMAD1についてノックアウトマウスを作製し機能解析を行った。その結果HORMAD1は減数分裂の相同染色体の対合に必須であることが明らかになった。また興味深い結果として対合不全を生じた減数分裂細胞のその後の運命には雌雄で大きな違いが見られ、雄ではすべての精母細胞が細胞死を起こして無精子になるのに対し、雌では卵母細胞の減少は見られなかった。そしてこれらの卵は細胞分裂時に染色体の不分離を生じ、受精しても正常に発生できないため不妊となっていた。以上の結果はHORMAD1の機能欠損により雄では無精子症、雌では習慣流産が引き起こされる可能性を示唆し非常に興味深い。またHORMAD1欠損雌の卵母細胞が対合不全にもかかわらず細胞死を起こさないことから、HORMAD1が雌の減数分裂チェックポイントに必須の分子である可能性が示唆された。この結果は哺乳類の減数分裂チェックポイントには分子機構自体に雌雄の違いがあることを示すとともに、HORMAD1がこれまで未解明だった哺乳類の減数分裂チェックポイントの分子機構を解明する有力な手がかりになることを意味する。HORMAD1が関与するチェックポイントの分子機構1を解明する上では、HORMAD1のリン酸化部位の同定や分子複合体の構成成分の同定が重要であり、今後さらに解析を進める必要がある。
|
