2008 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム再吸収の調節に関与する新規パラセリン-1分子複合体の解明
Project/Area Number |
20790175
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
五十里 彰 University of Shizuoka, 薬学部, 准教授 (50315850)
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Keywords | マグネシウム / 腎臓 / 細胞生理 / 分子複合体 / パラセリン-1 |
Research Abstract |
マグネシウム不足は循環器疾患、糖尿病、一部の悪性腫瘍などの発症に関与すると報告されている。さらに、マグネシウムは生命維持において必要不可欠なミネラルであるにも関わらず、マグネシウムホメオスタシスの調節に関与する輸送体の実体やその調節構はほとんど明されていない。我々は、腎臓のヘンレ上行脚に発現するパラセリン-1がマグネシウム輸送経路として働くことを報告してきた。本研究では、パラセリン-1の転写調節機構とパラセリン-1の細胞内局在調節におけるリン酸化の影響について検討した。ラットパラセリン-1のプロモーター領域をpGL4.1-lucベクターに組み込み、プロモータールシフェラーゼアッセイを行ったが、活性を検出できなかった。今後、さらに上流の領域をクローニングし、転写調節機構を調べる必要がある。次に、FI.AGタグを融合したパラセリン-1発現細胞を作製し、蛍光免疫染色法により細胞内局在を調べた。パラセリン-1はPKAによってセリン残基がリン酸化されると共に、ERKによってスレオニン残基がリン酸化されると示唆された。細胞外マグネシウムを除去すると、ERKのリン酸化量が低下し、パラセリン-1は脱リン酸化した。MEKのリン酸化量が増加したことから、マグネシウムはMEKからERKへのシグナル伝達に関与すると示唆された。また、ERK阻害剤のU0126処理により、パラセリン-1は脱リン酸化して、タイトジャンクションから解離した。パラセリン-1のタイトジャンクションからの解離により、上皮膜間抵抗値の低下、マグネシウム輸送量の低下が観察された。以上のことから、細胞外マグネシウム濃度の低下により、ERKリン酸化量の低下、パラセリン-1の脱リン酸化を介して、マグネシウム再吸収が低下すると示唆された。
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