2009 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギーホメオスタシスに関わる新規オーファン受容体の生理機能の解析
Project/Area Number |
20790187
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐野 孝光 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経膜機能研究チーム, 客員研究員 (10399967)
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Keywords | エネルギーホメオスタシス / 肥満 / GPCR |
Research Abstract |
GPRC5ファミリー受容体は、グルタミン酸、GABA、味覚などに対する受容体と相同性の高いオーファン受容体である。これまで、その機能は全くの不明であったが、2009年、そのショウジョウバエホモログであるbride of sevenless (BOSS)がエネルギーホメオスタシスに関与する事が明らかとなり、哺乳類GPRC5ファミリー受容体も共通の機能を有する可能性が示唆された。本研究は、哺乳類GPRC5ファミリー受容体の生理学的役割を明らかにすることを目的とし、研究を遂行した。前年度、GPRC5ファミリー受容体欠損マウスを作製し、その表現型を観察したところ、そのマウスは高脂肪食摂取に対する肥満に抵抗性を示す事が明らかとなり、今年度は、さらに詳細に表現型解析を行った。まず、GPRC5ファミリー受容体欠損マウスにおける組織重量を測定したところ、脂肪を蓄積する臓器である白色脂肪組織、肝臓での重量の増加が観察された。しかしながら、その他の臓器重量は同様であった。GPRC5ファミリー受容体欠損マウスは、高脂肪食摂取下においても、高インスリン血症、高レプチン血症を回避し、正常なホルモンレベルを維持していた。また、GPRC5ファミリー受容体欠損マウスの白色脂肪組織では、炎症性サイトカインの遺伝子発現の増加が抑制されていた。興味深い事に、肥満の進行に伴い、白色脂肪組織のGPRC5ファミリー受容体遺伝子発現が増加していた。さらに、GPRC5ファミリー受容体欠損マウスでは体温、酸素消費量が野生型より高く、エネルギー消費が増大していた。これらのことから、GPRC5ファミリー受容体欠損マウスでは、エネルギー消費の増加のため、肥満に抵抗性になっていることが明らかとなった。
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