2009 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性H+チャネルと活性酸素産生酵素NADPHオキシダーゼとの共役機構の解明
Project/Area Number |
20790189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大河内 善史 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (90435818)
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Keywords | 電位依存性プロトンチャネル / 貪食細胞 / 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ |
Research Abstract |
貪食細胞における電位依存性プロトンチャネル(VSOP)の役割を調べた結果、VSOPが食胞膜に存在し、かつ、活性酸素の産生を制御していることが明らかになった(Okochi et al., 2009)。貪食細胞では、NADPHオキシダーゼの活性化に伴う細胞内プロトンの上昇により、膜電位変化(脱分極)と細胞内pH変化(酸性化)が引き起こされるが、VSOPがこれらの制御に必要な分子であることが共同研究により明らかになった(Chemaly et al., 2010)。VSOPによる膜電位と細胞内pH制御の分子機構を明らかにするために、両者の物理的な相互作用を免疫沈降法により検討した。NADPHオキシダーゼを構成する遺伝子が組み込まれたCOS7細胞(COS^<phox>)を用いて、VSOP抗体、NADPHオキシダーゼの抗体で免疫沈降実験を行いウェスタンブロット法でタンパクの有無を検出した結果、VSOP抗体で免疫沈降したフラクションからNADPHオキシダーゼが検出され、NADPHオキシダーゼの抗体で免疫沈降したフラクションからVSOPが検出された。また、マウス脾臓サンプルを用いてNADPHオキシダーゼの抗体で免疫沈降実験を行った結果、VSOPが検出された。すなわち、VSOPとNADPHオキシダーゼの物理的な結合が示唆された(未発表データ)。NADPHオキシダーゼは好中球の顆粒に多量に存在することが知られているが、VSOPも同様に顆粒に存在するかどうか免疫染色法で調べた結果、VSOPは、主に顆粒に局在すること、NADPHオーキシダーゼと共局在することが明らかになった(未発表データ)。以上より、VSOPは、NADPHオキシダーゼの活性化に伴う細胞内プロトン濃度を、NADPHオキシダーゼの近傍で厳密に制御していると考えられる。
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Research Products
(6 results)