2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス時の交感神経系亢進が卵巣内分泌機能に及ぼす生理学的研究
Project/Area Number |
20790197
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
内田 さえ Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (90270660)
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Keywords | 卵巣ホルモン / ストレス / 自律神経 / 皮膚刺激 / ラット |
Research Abstract |
卵巣支配の自律神経の電気刺激が卵巣ホルモンの分泌速度に及ぼす影響を調べた.ラットの卵巣は上卵巣神経(SON)と卵巣動脈神経叢(OPN)の支配を受ける.まず,SONとOPNの誘発活動電位を記録したところ,いずれの神経も主に伝導速度が約1m/sの無髄線維が含まれることが分かった.OPNについては電子顕微鏡による形態観察を行ったところ,OPNには主に無髄線維が含まれ有髄線維は全体の2%程度であることが分かった.次に,麻酔下で卵巣静脈血を間欠的に採取し,血漿流速と血漿エストラジオール濃度を測定し,卵巣からのエストラジオール分泌速度を算出した.無髄線維を充分に興奮させる強度でSON又はOPNを電気刺激した.卵巣血漿流速は,SON又はOPNのいずれの神経の刺激中にも低下した.一方,卵巣エストラジオール分泌速度はSON刺激中に低下したが,OPN刺激中には有意な変化を示さなかった.すなわち,卵巣血管に対してはSONとOPNの両者が収縮性に調節すること,卵巣エストラジオール分泌に対してはSONのみが抑制性に調節することを明らかにした.更に,SONによる卵巣エストラジオール分泌抑制反応は,α2アドレナリン受容体遮断薬(ヨヒンビン)投与により遮断された.従って,卵巣支配アドレナリン作動性神経がα2受容体を介して卵巣エストラジオール分泌を抑制性に調節することが明らかとなった.本研究の結果は,ストレス時に認められる交感神経系興奮が卵巣のホルモン分泌や血流に影響を及ぼし,その結果,月経不順や排卵障害を招く可能性を示唆する.
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Research Products
(4 results)