2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス時の交感神経系亢進が卵巣内分泌機能に及ぼす影響の生理学的研究
Project/Area Number |
20790197
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
内田 さえ 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90270660)
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Keywords | 卵巣ホルモン / ストレス / 自律神経 / 皮膚刺激 / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的は,卵巣に分布する交感神経の電気刺激が卵巣ホルモン分泌に及ぼす影響を調べ,ストレス時の交感神経亢進が卵巣内分泌機能に及ぼす影響を解明することである.今年度は,第一に卵巣支配の交感神経(上卵巣神経)刺激で起こる卵巣からのエストラジオール分泌低下反応に関わるαアドレナリン受容体の関与を例数を追加して検討した.α_1受容体遮断薬(プラゾシン)投与後も、上卵巣神経の電気刺激は卵巣からのエストラジオール分泌速度を刺激前値の72.8±9.5%に有意に低下させた.α_2受容体遮断薬(ヨヒンビン)投与後には上卵巣神経刺激は卵巣エストラジオール分泌速度に有意な変化をもたらさなかった.従って,上卵巣神経はα_2受容体を介して卵巣からのエストラジオール分泌を抑制することが明らかとなった.一方,上卵巣神経刺激はエストラジオール分泌低下と同時に卵巣血流(卵巣静脈血漿流速)を低下させる.この血流低下反応はα_2受容体遮断薬投与後にも認められた(刺激前値の74.4±4.0%)が,α_1受容体遮断薬投与後には消失した.従って,上卵巣神経刺激による血流低下反応はα_1受容体を介することが明らかとなった.この結果を英文論文にまとめて投稿した.今年度は第二に,ストレスが卵巣からのエストラジオール分泌速度に及ぼす影響を調べた.ストレス刺激として後肢足蹠の皮膚侵害性機械的刺激を麻酔ラットに5分間加えたところ,卵巣エストラジオール分泌速度が低下し,その低下は刺激終了後約20分続いた.エストラジオール分泌低下が分単位の速い時間経過で起こることから,交感神経の関与が示唆された.引き続き例数を加えて詳細に検討し,論文にまとめる予定である.以上の結果から,ストレス時の交感神経亢進が,卵巣のエストラジオール分泌や血流を各々α_2及びα_1受容体を介して抑制することが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)