2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790200
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
神山 直也 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (20431398)
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Keywords | 抗がん剤 / 副作用 / 味覚 |
Research Abstract |
この研究課題は、がん化学療法(抗がん剤治療)時に生じる味覚障害について、その発生機序を解明することを目的としている。味覚障害は抗がん剤の種類・投与方法に依らずがん化学療法の施行中に広汎にわたって生じる副作用である。これまでにその発生原因については様々な考察がなされているが、実際に抗がん剤が味覚障害を引き起こす機序を検証した例は極めて乏しく、臨床においてもその治療法が確立されていない。そこでまず本研究では動物実験によって味覚障害を評価する実験系の構築を試みた。マウスを用いた2瓶選択法はマウスの味溶液に対する嗜好性・忌避性を評価する実験系として汎用されていることから、マウス(BALB/c)に抗がん剤を腹腔内投与し、その後の選択性の変化を観察した。これまでに白金製剤(シスプラチン, オキサリプラチン)を用いた検討から、苦味物質である塩酸キニーネの選択性(塩酸キニーネ水を強く忌避し、精製水を嗜好する)が、抗がん剤投与後に著しく変化する場合があることを捉えている。しかし、その発生パターンや頻度などについては今後の検討課題である。さらにヒトにおいて重要な味覚障害である「おいしいものがまずく感じられる」パターンを評価するため、アミノ酸や甘味物質など嗜好性のみられる味質を用いた検討を行う。味覚障害マウスの作出と判定を可能にすることは、味覚障害の発生機序を解明するうえできわめて重要である。当初の実験計画で初年度から予定していた延髄孤束核c-Fos染色や組織中亜鉛濃度測定については、発生機序解明の基盤となる上記の検討を重視したことから、今後の検討項目として継続してゆく予定である。
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