2008 Fiscal Year Annual Research Report
小脳バーグマングリアの機能維持におけるイノシトール1,4,5-三リン酸の役割
Project/Area Number |
20790202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 洋平 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (40422282)
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Keywords | 脳・神経 / プルキンエ細胞 / バーグマングリア / カルシウム / IP3 |
Research Abstract |
中枢神経系における代表的なグリア細胞であるアストロサイトは、正常な興奮性シナプス俵達に必須の存在である。小脳に存在するバーグマングリアはアストロサイトの典型例としてよく研究されており、プルキンエ細胞の興奮性シナプスを取り巻くように突起を伸ばすことで、平行線維および登上線維終末から放出されたグルタミン酸がシナプス外へ漏れ出すのを防いでいる。加えて突起には数多くのグルタミン酸トランスポーターが発現し、シナプス間隙のグルタミン酸の除去を行っている。しかしながらその機能を維持するための、バーグマングリア細胞内シグナルは十分明らかになっていない。本研究では、生理的条件下での持続的内イノシトール1, 4, 5一三リン酸 (IP3) シグナルが小脳バーグマングリアのグルタミン酸除去機能の維持に関与することを、IP3分解酵素であるIP3-5-ボスファターゼ (5ppase)を用いたIP3シグナル抑制法により示す。応募者はこれまでの研究で、アデノウイルスベクターを用いることでバーグマングリア選択的に高い効率で5ppaseを発現させることに成功している。まず、5ppase発現バーグマングリアに接するプルキンエ細胞でEPSCを測定することで、バーグマングリアの機能面での変化を解析した。平行線維シナプスについて、AMPA受容体の脱感作阻害剤であるcyclothiazide (CTZ) 存在下に、AMPA受容体依存性EPSCが顕著に延長することが観察された。これはシナプスにおけるグルタミン酸滞留時間の延長を示すものであり、バーグマングリアのグルタミン酸除去機能が低下したことが示唆される。この除去機能低下についてはバーグマングリアでグルタミン酸トランスポーターGLASTの発現量の低下が原因であった。以上の成果をもとに論文を執筆し投稿した
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Research Products
(4 results)