2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生過程におけるカルシウム動態の時空間パターンの意義の解明
Project/Area Number |
20790205
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
並木 繁行 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (90452193)
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Keywords | カルシウム / イメージング / 血管新生 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の栄養因子によって活性化され血管新生過程が開始される。VEGFが惹起する細胞内のカルシウム動態の変化は血管新生のシグナルカスケードにおいて重要な役割を果たしていると考えられるが、その実態は明らかになっていない。本年度はVEGFによって惹起されるストア作動性カルシウム流入(SOCE)に着目して研究を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)でshRNAを用いてSOCEの分子実態として近年注目を集めているStim-1遺伝子とOrai-1遺伝子のノックダウンを行い、VEGF依存的なSOCE活性に与える変化をカルシウムイメージング法によって解析を行った。その結果、VEGFを負荷することによって惹起されるSOCEはStim-1やOrai-1のノックダウンによって著明に減弱した。また、この効果はStim-1やOrai-1のレスキューによって回復した。以上の結果はVEGFによって生じるSOCEにはStim-1とOrai-1の両方の分子が必要であることを示している。また、Stim-1やOrai-1のノックダウン細胞ではVEGF依存的なvon willebrand factor(vWF)の放出が著しく抑制されている事が観察された。この結果は、VEGFがStim-1やOrai-1を介したSOCEを通して、血管内皮細胞からの血小板の凝集を制御することで血液凝固システムにも強く関与している事を示しているものである。以上の新しい知見についての投稿論文を準備中である。
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