2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞における内向き整流性カリウムチャネルの位置制御機構の解明
Project/Area Number |
20790207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 和春 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (40452437)
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Keywords | 内向き整流性カリウムチャネル / 組胞内輸送 / 分子可視化解析法 / 電気生理学的解祈 / 薬物-チャネル相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、内向き整流性カリウムチャネル(以下、Kirチャネル)の生理的機能を支える細胞内輸送機構を、動的に明らかにすることである。最近、研究代表者は紫外光の照射によって初めて活性化型となる蛍光蛋白質、photo-activatable GFP(PAGFP)をKirチャネルに結合させ、光標識したKirチャネル分子の生細胞内での振る舞いを時間軸に沿って可視化解析した。この方法により、研究代表者はこれまで解析が困難であった、Kirチャネルの細胞膜上での側方拡散や細胞内への取り込みの速度論的な解析が可能となった。HEK細胞において、Kir2.1チャネルは数十分にわたり細胞膜局所に留まっていること、一方、Kir3.1/3.xチャネルは非常に動的であることを見いだした。この方法論は神経細胞を含むその他の細胞種においても応用可能であり、Kirチャネルの細胞内輸送解析法の開発という当該年度の第一目標を達成していると考えている。現在、上記サブユニット間の異なる生細胞内動態の機序を主に解析しているが、この研究によりKirチャネルの位置制御機構の基本原理を明らかにできると考えている。 また、薬物は細胞膜上の機能的Kirチャネル密度を評価するための強力なツールとなる。近年、神経活動を制御する薬物のいくつかはKirチャネル機能を阻害することが知られてきた。例えば、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン取り込み阻害薬はシナプス後部位に局在しているKir2.xあるいはKir3.xサブユニット、さらに、脳のアストログリア細胞に発現しているKir4.1サブユニットに結合し、その機能をブロックする。研究代表者はそれらの薬物がKirチャネルのポアキャビティーと相互作用し、チャネル機能を阻害することを明らかとした。この研究は、Kirチャネルの位置制御機構の薬理学的解析を行なう上での基礎的情報となる。
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