2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞における内向き整流性カリウムチャネルの位置制御機構の解明
Project/Area Number |
20790207
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 和春 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (40452437)
|
Keywords | 内向き整流性カリウムチャネル / 細胞内輸送 / 分子可視化解析法 / 電気生理学的解析 / 薬物-チャネル相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、内向き整流性カリウム(Kir)チャネルの時空間ダイナミクスを解析する技術を開発し、この実験系を用いてKirチャネルの神経細胞内不均一分布の形成機構の解明を目指している。研究代表者はこれまでに、紫外光の照射によって初めて活性化型となる蛍光蛋白質とKirチャネルサブユニットの融合蛋白質(Kirx. x-PAGFP)を用い、光標識したKirチャネルの生細胞内可視化解析に成功している。この方法により、細胞膜上での側方拡散や細胞内への取り込みの速度論的解析が初めて可能となった。従って、Kirチャネルの細胞内時空間ダイナミクスの解析技術開発という第一目標を達成していると考えている。平成20年度に引き続き当該年度は、この方法を用いてKirチャネルの細胞内ダイナミクスをサブユニット毎に解析した。Kirチャネルは恒常的なエンドサイトーシスによって細胞内への取り込まれていると考えられた。取り込み速度はサブユニット毎に異なり、何らかの機構によって制御されていることが明らかとなった。これらの知見は従来の方法論では明らかにできなかったことであり、Kirチャネルの神経細胞内不均一分布の形成機構の実像について新たな一面が見えてきたものと考えられる。さらに当該年度は、中枢神経作用薬、酵素阻害薬などの神経科学分野の研究で汎用される薬物のKirチャネルに対する直接作用も研究し、Kirチャネル機能がそのうちのいくつかの薬物によって抑制されること、またKirチャネルサブユニット間に薬物に対する感受性の差があることが明らかとなった。薬物は制御されたKirチャネル輸送機構の解析、機能的チャネル発現量の評価に用いる重要なツールとなる。本研究で開発したKirチャネル位置の可視化解析法と電気生理学的チャネル機能解析法を組み合わせて、Kirチャネルの神経細胞内不均一分布の形成機構の解明に向けた準備が整いつつある。
|