2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質による樹状突起電位依存性チャネル制御の薬理学的解析
Project/Area Number |
20790211
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塗谷 睦生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60453544)
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Keywords | 神経伝達物質 / 電位依存性チャネル / 翻訳後修飾 / 神経細胞 |
Research Abstract |
神経細胞の活動は、精密に制御された様々な電位依存性チャネルにより支えられている。脳の高次機能発現においてはこれらのチャネルの制御が重要な鍵を握ると考えられるが、その分子・細胞レベルでの理解は限られている。これまでに我々は、神経細胞の興奮性の制御に重要な役割を果たすHCN1,Kv2.1といったチャネル分子が、神経細胞の活動により非常に動的に制御されている事を示してきた。本年度はこのような生化学的な知見を踏まえ、これらのチャネル制御が神経細胞の電位情報処理に果たす役割を解析するため、新規の2光子イメージング法である第二高調波発生(Second Harmonic Generation)イメージングの神経細胞への応用を試みた。神経細胞の出力の鍵を握りながらこれまで定量的な計測が困難であった軸索での電位情報伝達を解析するため、SHGイメージングをマウス海馬由来の分散培養神経細胞に適用した。この系を用いることにより、これまで行われてきた脳スライスでのSHGイメージングにおいては困難であった軸索のSHGイメージングによる可視化と、それを利用した定量的膜電位計測が可能となる事が示された。更にこれに電気生理学的手法を合わせる事により、分散培養神経細胞においては細胞体付近において発生した活動電位は非常に効率的に伝播するものの、活動電位の発生を伴わないアナログの電位シグナルは非常に強く減衰する事が明らかとなった。これらの結果はこれまで謎に包まれていた軸索における電位情報伝播の様式に関して新たな知見を与えるのみならず、定量的な電位変化の可視化技術してのSHGイメージングの応用を広げ、本課題に提唱した局所的な神経活動の制御を含めた様々な電位情報伝達を定量的に解析するのに非常に有効な手段となる事を示すものとなった。
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Research Products
(4 results)