2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後の糖代謝異常による疼痛発現機構の解明とその緩和を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
20790213
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
濱邊 和歌子 Kobe Gakuin University, 薬学部, 助教 (30382328)
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Keywords | 糖代謝異常 / 一過性脳虚血 / インスリン感受性 / アディポネクチン / 疼痛 |
Research Abstract |
本研究では、脳卒中後糖代謝異常と疼痛との関連について検討することを目的としている。初年度には、一過性脳虚血モデルマウスにおける耐糖能異常の発現について検討を行った。すなわち、ddY系雄性マウスに2時間の中大脳動脈閉塞を施し、その後の空腹時血糖値変化を観察した。その結果、偽手術群と比較して虚血処置群では有意に血糖値が上昇することを見いだし、加えて、糖負荷後血糖値の有意な上昇も観察された。一方、虚血により、血中インスリン量の増加は認められたものの、糖負荷後のインスリン分泌量は有意に減少していた。また、外来性インスリンに対する感受性は低下しており、同時にインスリン感受性に寄与する血中アディポネクチン分泌量の減少も観察された。これらの知見は、一過性脳虚血ストレスにより、インスリン分泌量の不足とインスリン感受性の低下を介した耐糖能異常が生じたことを示唆している。 興味深いことに、外来性のインスリンにより血糖値上昇を抑制すると、虚血ストレスによる神経障害は有意に抑制された。すなわち、耐糖能異常が神経障害の悪化因子として作用する可能性が示唆された。これらの知見を踏まえ、次年度では、虚血性の疼痛の評価ならびに、糖代謝異常が疼痛発現に及ぼす影響を観察する予定である。
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Research Products
(6 results)