2009 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質による心筋カルシウム輸送制御とその病態学的意義
Project/Area Number |
20790216
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
喜多 紗斗美 Fukuoka University, 医学部, 講師 (10461500)
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Keywords | 脂質キナーゼ / 心肥大 / シグナル伝達 / 脂質代謝異常 / 薬理学 |
Research Abstract |
心臓に圧負荷が加わると心筋細胞の肥大が生じて収縮力が増大し、心機能を維持しようとする。しかし、負荷が過剰になるとこの代償機能は破綻し、心肥大から心拡大・心不全へと移行する。したがって、心肥大の形成機序の解明は、心不全の予防・治療法の開発に繋がる重要な課題である。これまでに脂質リン酸化酵素PI3K-Akt経路が心肥大形成に重要であることが分かっている。最近申請者は、この経路の上流にあるPIP5Kαの野生型および活性欠失型変異体を心筋特異的に高発現させたマウス(PIP5Kα-Tg,PIP5KαDN-Tg)を作製し、両マウスに大動脈狭窄術を施して圧負荷を加えるとPIP5Kα-Tgでは心肥大が悪化し、PIPsKα-DN-Tgでは逆に心肥大が抑制されることを見いだした。本研究では、これら遺伝子改変マウスを用い、PIP5Kαが各種ホスホイノシチドの量比・局在の制御により心肥大・心不全への舵取り役として働く可能性について検討した。最近申請者らが開発した心筋特異的な活性型NCX1変異体高発現マウスは心室内腔の拡大や心機能低下などの拡張型心筋症の病態を示すが、PIP5Kα-DN-Tgと交配した両遺伝子改変マウスではこれら病態が効果的に改善された。また、両遺伝子改変マウスの心臓では心肥大マーカー(ANP、BNP)や繊維化マーカー(MMP2、Collagen type3など)の遺伝子発現が抑制されていた。つまり、PIP5Kαの異常がNCX1の制御破綻を引き起こすことにより、心不全を誘導する可能性が示唆された。現在、本マウスでのPIP_2およびPIP_3の定量を試みている。また、PLCδ1PH-GFPおよびBtkPH-GFPのレンチウイルス発現ベクターを作製済みであり、上記マウスの心筋細胞におけるPIP_2およびPIP_3の細胞内局在変化を観察する予定である。
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Research Products
(30 results)