2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790223
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 恒 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (10451923)
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Keywords | 低酸素応答 / プロリン水酸化酵素 / PHD3 / PRP19 / タンパク質複合体 / 細胞死 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
低酸素応答で形成される低酸素コンプレックスの構成分子の同定 低酸素応答のシグナル伝達機構の解析を、プロリン水酸化酵素PHD3が形成する低酸素コンプレックスに着目して進めた。前年度の解析で、三つの分子を低酸素コンプレックス構成タンパク質の主たる解析対象として絞り込んだ。 低酸素下で細胞死を抑制する分子PRP19 Pre-mRNA processing factor(PRP19)は、低酸素コンプレックスを構成する分子として絞り込んだものの一つである。本研究よりPHD3とPRP19がin vitroおよびin vivoにおいて相互作用することが明らかになった。さらに、両タンパク質間の相互作用は低酸素環境で増強されることが判明した。また、低酸素環境においてPRP19のN末部位とC末部位の結合が認められた。この分子内の結合がPHD3によって促進されることを、FRETを用いたアッセイにより証明した。 長期にわたる低酸素環境での培養は細胞死を引き起こす。PRP19の強制発現はこの細胞死を有意に抑制し、逆にsiRNAを用いたPRP19の発現抑制は細胞死を促進した。一方で、PRP19 siRNAにより誘導される細胞死は、PHD3を同時にsiRNAすることにより抑制された。このことから、PRP19は細胞死の促進に働くPHD3と結合してその活性を抑制することが、低酸素応答における細胞死を抑制するメカニズムであることが予測された。 癌は低酸素環境に耐性を示し、増殖能を維持する。この時に、細胞死を抑制する分子が活性化されていることが予想される。PRP19-PHD3の相互作用を効果的に抑制することは癌の低酸素耐性を打ち消すために有効な手段となり得るかもしれない。低酸素コンプレックスが細胞死に関わるどのようなシグナル伝達経路を制御し、癌細胞でどのような働きを担うのかを今後の解析で明らかにしたい。
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Research Products
(3 results)