2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼCεによる炎症性サイトカイン産生制御の機構の解明
Project/Area Number |
20790229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
枝松 裕紀 Kobe University, 医学研究科, 助教 (70335438)
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Keywords | サイトカイン / 慢性炎症 / 尋常性乾癬 / 疾患モデル動物 / 樹状細胞 / T細胞 / 免疫 / ホスホリパーゼ |
Research Abstract |
ホスホリパーゼCε(PLCε)が関与する炎症性サイトカイン産生について、PLCEノックアウト(KO)マウス、トランスジェニック(TG)マウス、およびそれらから調製した初代培養細胞を用いて解析した。我々のこれまでの研究により、PLCεKOマウスはハプテン誘発性の接触性皮膚炎に対し抵抗性を示すことが分かっている。さらに、KOマウス皮膚では、T細胞の浸潤によって生じる角化細胞や線維芽細胞でのサイトカイン遺伝子発現が野生型と比べ低下していることが示されている。そこで、その機構について詳細に検討した。初代培養した角化細胞や線維芽細胞をT細胞由来サイトカインで刺激すると、KOマウス由来細胞では炎症性サイトカインの産生誘導が著しく低下していることが分かった。そこで、T細胞由来サイトカインによるPLCε活性化を検討したが、T細胞由来サイトカインによるPLCεの活性化は検出されず、培養上清中へ分泌される何らかの因子がPLCεの活性化に関与していることが示唆された。一方、表皮特異的にPLCεを過剰発現するTGマウスを作出し、それが慢性皮膚炎を示すことを明らかにした。PLCεを過剰発現する角化細胞では、ヒト乾癬への関与が示唆されているインターロイキン類や抗菌ペプチドなど複数の乾癬関連因子の発現の亢進が認められた。さらに、炎症を起こしているマウス皮膚では、インターロイキン22を産生するCD4陽性T細胞をはじめとする多様な炎症細胞が多数浸潤していることが分かった。また、炎症の発症前後では、様々な樹状細胞が、皮膚において増加していることも見出した。これらのことから、表皮におけるPLCεを介するシグナル伝達系の活性化が、乾癬関連因子の発現亢進を引き起こし、その結果、樹状細胞やCD4陽性T細胞活性化を伴う皮膚の異常に繋がる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)