2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経系細胞系譜決定過程における領域特異的クロマチン制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
20790230
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
神山 淳 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (30437511)
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Keywords | 胚性幹細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
哺乳類中枢神経系発生過程において神経幹細胞はニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトといった細胞群を産生する。この過程においで発生段階依存的に神経幹細胞からは当初はニューロンのみが産生され、のちにアストロサイトやオリゴデンドロサイトといった細胞群が産生されるようになる。この神経幹細胞分化能の変容にゲノム領域特異的にエピジェネティックな修飾の変化が報告されている。本研究では胚性幹細胞(ES細胞)を用いた分化誘導系を利用してこの詳細のメカニズムを明らかにしようと試みた。 ES細胞を用いた分化系では中枢神経系の発生過程と同様に当初はニューロンのみが産生され、培養期間を長期にすることによりアストロサイトが産生されるようになるが、通常ニューロンのみしか産生されない培養期間中にレチノイン酸を添加することにより早期にアストロサイトが出現することが明らかとなった。DNAのメチル化やヒストン修飾を解析するとレチノイン酸処理により発生後期の神経幹細胞に近い状態となっていることがわかった。この過程において維持型DNAメチル基転移酵素がグリア細胞特異的な遺伝子プロモーターに結合しにくくなっていることが明らかとなった。
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