2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経系細胞系譜決定過程における領域特異的クロマチン制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
20790230
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
神山 淳 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (30437511)
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Keywords | ES細胞 / 神経幹細胞 / エピジェネティクス / アストロサイ |
Research Abstract |
神経幹細胞の発生過程においてニューロン分化能獲得からグリア分化能獲得という分化能のスイッチングや(2)時間空間的に、異なるサブタイプのニューロンを生み出す、という性質を持つ。このような性質の変化は「細胞外シグナル」のみでは説明できず、DNAメチル化やクロマチン構造変化といったエピジェネティクスの重要性が近年明らかにされつつある。ES細胞からの神経誘導系において誘導後初期はニューロンのみを産生し、後期にはアストロサイトを産生可能となり、中枢神経系発生を模する実験系としてES細胞は有用である。そこで、本研究では胚性幹細胞(ES細胞)から神経系細胞への分化系を用い、特に発生過程において領域特異的にDNA脱メチル化が生じる、アストロサイト特異的遺伝子GFAP遺伝子プロモーターに着目し、ES細胞をモデル系として解析を行った。本年度は前年度に継続してヒストンメチル基転移酵素、DNAメチル化酵素欠損ES細胞を中心とした機能解析を行い、特に維持型DNAメチル化転移酵素として知られるDnmt1遺伝子の欠損ES細胞において早期のアストロサイト分化能を有することを見出した。また、Dnmt1蛋白質はアストロサイト分化能を獲得する時期にはGFAP遺伝子プロモーターより解離することが明らかとなり、このDnmt1蛋白質の挙動の制御は中枢神経系発生過程において重要であることが示唆された。
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