2009 Fiscal Year Annual Research Report
野生型マウス由来体細胞からの誘導性多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立
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20790235
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三井 薫 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (40324975)
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Keywords | iPS細胞 / ウイルスベクター |
Research Abstract |
本年は「より安全性の高いiPS細胞の樹立」を中心に研究を行った。iPS細胞樹立にアデノウイルズベクタ-(AdV)を用い、染色体に誘導遺伝子が組み込まれないヒトiPS細胞の樹立方法を検討した。昨年度作成した、リプログラミング4因子(Oct4, Klf4, Sox2, c-Myc)をそれぞれ発現させるAdVと、FMDV由来2AペプチドでOct3/4, Sox2, Klf4を繋ぎ、ひとつのプロモ-タ下で発現させることのできるpAdV (pAdV-OKS)をマウス繊維芽細胞(MEF)またはヒト正常細胞に感染させ、iPS細胞誘導実験を行ったが、どちらの細胞種においてもiPS細胞は誘導されなかった。この際、AdVによる4因子の発現量は、RVによる4因子それぞれの発現量と同程度であることを確認している。8月にZhouらによりAdVによるヒトiPS細胞誘導が報告された(Stem Cells. 2009,27:2667-74)ため、これを参考にAdV量を調整し、2-3回感染させ、iPS細胞誘導を行った。しかし、3または4因子それぞれのAdVを同時に感染させると、細胞傷害が起き、MEF上に再播種しても細胞は増殖せず、またAdV-OKS (+AdV-Myc)を感染させた細胞は、細胞傷害は起きなかったものの、MEF上に再播種してもiPS細胞を誘導することは出来なかった。コントロールとしてRVを感染させた細胞はiPS細胞を誘導できているため、AdVの感染方法(量・感染回数)をさらに検討する必要があると考える。また、4因子感染後、効率良くiPS細胞誘導を確認できるよう細胞の未分化状態をモニタ-するAdVの作成も試みた。ヒトiPS細胞のリプログラミングの指標であるTert、REX1のプロモータの下流に蛍光タンパク質および薬剤耐性遺伝子を組み込んだAdV産生用プラスミドを構築し、現在AdV産生を行っている。
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