2010 Fiscal Year Annual Research Report
マーモセットES細胞由来心筋細胞のシート作製と移植
Project/Area Number |
20790236
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
服部 文幸 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (50398624)
|
Keywords | 霊長類 / マーモセット / 心筋細胞 / 細胞シート / 移植 / 心臓再生 |
Research Abstract |
再生不能臓器である心臓においては、拡張型心筋症、ミトコンドリア心筋症など、若年者QOLを極めて悪化させる遺伝病が広く存在する上に、生活習慣の欧米化によって若年層の心血管病罹患率は上昇を続けている。これらの社会的背景において、益々根本的治療方法としての心臓再生医療への期待が高まっている。心臓再生医療を実現するためには、ヒトと遺伝的に近い非ヒト霊長類動物と、体格が人に近いブタ大動物の両方を用いた、十分な安全性・有効性の確認が必須である。コモン・マーモセットは霊長類実験動物の中では小型で、妊娠期間も短く多産である。このために、多検体を要する前臨床試験動物として最適な霊長類と考えられる。我々は、実験動物中央研究所の佐々木らの樹立したマーモセットES細胞を初めて心筋細胞へ分化誘導することに成功した。この心筋細胞の遺伝子発現、蛋白質発現および増殖性、電気的性質などを調査し報告した(Chen H et al., Biochem Biophys Res Commun.2008 May 9 ; 369 (3) : 801-6.)。さらに我々は、独自に開発した心筋細胞精製方法(ミトコンドリア法: Hattori F, et al., Nat Methods.2010 Jan ; 7(1) : 61-6)を用いてマーモセットES細胞由来心筋細胞を精製した。続いて我々は、この精製心筋細胞を、シートに形成(Itabashi Y, et al., Artif Organs.2005 Feb ; 29(2) : 95-103)し、免疫不全マウスの心臓上に移植した。この霊長類心筋細胞シートの形成および移植は世界で初めての成果である。これは、心臓再生医療の実現に向けた大きな一歩であると考えられる。
|