2008 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔タンパク質の発現異常による細胞がん化の分子機構の解析
Project/Area Number |
20790246
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 祥子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70344885)
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Keywords | 白血病 / 転座型融合遺伝子 / 核膜孔複合体 / 核-細胞質間物質輸送 / CRM1 / NES / RNA輸送 / ヌクレオポリン |
Research Abstract |
細胞内分子輸送は細胞の機能や秩序を維持するのに必要な機構であるが、癌細胞では核一細胞質問の物質輸送を担う装置としで機能する核膜孔タンパク質に発現異常が生じている場合がある。現在までに、造血器腫瘍において、核膜孔複合体の構成タンパク質であるNup98およびCAN/Nup214を含む転座型融合遺伝子産物が30種類ほど報告されており、急性骨髄性白血病患者の数%を占めている。そこで本研究課題では、核膜孔タンパク質の発現異常による細胞がん化の分子機構の解明を目指し、白血病においてみられる核膜孔タンパク質Nup98およびNup214を含む転座型融合遺伝子産物の機能解析を行うこととした。 まず、核膜孔タンパク質を含む転座型融合遺伝子産物DEK-CAN/Nup214およびNup98-HOXA9がタンパク質の核外移行に与える影響について検討を行った。DEK-CANおよびNup98-HOXA9発現細胞に、PKIに存在するNESをGFPに付加したGFP-NESを発現させ、その局在を観察したところ、本来細胞質に局在が観察されるGFP-NESが融合遺伝子産物発現細胞では核に観察された。また、NESを有する内在性タンパク質NF-κBやIκBの局在について観察したところ、正常細胞では細胞質局在を示す両タンパク質の核局在が観察された。NESタンパク質の輸送を担う因子はCRM1である。DEK-CANおよびNup98-HOXA9発現細胞においてCRM1は融合遺伝子産物との共局在が見られた。以上の事から、融合遺伝子産物発現細胞ではCRM1の局在変化が生じ、その結果NESを有するタンパク質の核一細胞質問輸送に影響が生じている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)