2008 Fiscal Year Annual Research Report
PHA2型原因遺伝子WNKのショウジョウバエ相同遺伝子の解析
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20790249
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任助教 (30451925)
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Keywords | WNK / 偽性低アルドステン症2型 / モデル生物(ショウジョウバエ) |
Research Abstract |
偽性低アルドステロン症2型は、特定疾患にも指定されている難病であり、低レニン性高血圧症と共に、歯や骨の発育不全、精神発達遅延、身体の奇形を伴った症状を示す常染色体優性の遺伝病である。その原因遺伝子として、WNKキナーゼが単離され、腎臓においてナトリウムやカリウムの共輸送体を制御していること、その制御の異常が高血圧症の原因となるであろうことが既に示された。しかしながら、腎臓での制御異常が精神発達遅延や身体の奇形といった症状の原因とは考えられず、共輸送体の制御機構以外のシグナル伝達系の因子との関連が疑われている。そこで、我々は、遺伝学的手法が発達しているショウジョウバエを用いて、WNKキナーゼと相互作用する因子の特定と機能解析を行っている。現在までにショウジョウバエのWNK相同遺伝子DWNKを単離し、異所発現系を構築した。成虫の翅でDWNKを異所発現させたところ、Notchシグナル伝達系やWntシグナル伝達系に関わる遺伝子の変異体と似た表現型が得られ、相互作用すると考えられる。また、DWNK突然変異体は、胚期後期から2令幼虫において致死となった。胚期において神経の軸索誘導欠損が観察され、神経系の発生でも重要な機能を果たしていることが示唆された。以上のように、WNKキナーゼは、共輸送体の制御以外にも様々な機能を持っていることが推測され、今後は関連する因子の特定及びその因子のより詳細な解析を行っていく予定である。また、それらの因子のヒトやマウスの相同遺伝子の機能を解析することで、偽性低アルドステロン症の発症メカニズムの解明に繋がり、治療薬のターゲットの候補を増やすことができると考えている。
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