2009 Fiscal Year Annual Research Report
PHA2型原因遺伝子WNKのショウジョウバエ相同遺伝子の解析
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20790249
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任助教 (30451925)
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Keywords | WNK / 偽性低アルドステイン症2型 / モデル生物(ショウジョウバエ) |
Research Abstract |
偽性低アルドステロン症2型は、特定疾患にも指定されている難病であり、低レニン性高血圧症と共に、歯や骨の発育不全、精神発達遅延、身体の奇形を伴った症状を示す常染色体優性の遺伝病である。その原因遺伝子として、WNKキナーゼが単離され、腎臓においてナトリウムやカリウムの共輸送体を制御していること、その制御の異常が高血圧症の原因となるであろうことが既に示された。しかしながら、腎臓での制御異常が精神発達遅延や身体の奇形といった症状の原因とは考えられず、共輸送体の制御機構以外のシグナル伝達系の因子との関連が疑われている。そこで、我々は、遺伝学的手法が発達しているショウジョウバエを用いて、WNKと相互作用する因子の探索を行うことにし、解析を行っている。DWNKの異所発現系と共に、ヒトのWNK1、及び下流因子であるマウスのOSR1、そのショウジョウバエ相同因子Frayの異所発現系を構築したところ、全ての異所発現系で同じ表現型が観察された。このことは、WNKシグナル伝達経路が、ショウジョウバエからヒトまで広く保存されていることを示唆している。また、DWNK突然変異体の解析、及びキナーゼ不活性型の異所発現系の解析から、下流で機能する転写因子の存在が推測された。この転写因子のほ乳類における相同因子は、培養細胞系を用いた解析からも、WNKの下流で機能することを明らかにした。さらに、この転写因子は、口腔部の形成やアセチルコリン作動性神経の発生において重要な機能を果たしていることが知られている。PHAIIの患者において歯や骨の発育不全や精神発達遅延などの症状が現れることを考えると、非常に重要な因子である可能性が高い。今後は、この転写因子の発現調節機構等の解析を通じて、偽性低アルドステイン症の発症メカニズムの解明、及び創薬の可能性についても探っていきたい。
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