2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790252
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
土谷 佳樹 Doshisha University, 生命医科学部, 助教 (30456777)
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Keywords | シグナル伝達 / 蛋白質 / 脂質 |
Research Abstract |
転写因子Nrf1の肝臓特異的ノックアウトが脂肪肝をもたらすメカニズムを知るには、Nrf1の細胞内における機能の解明が必須である。私はNrf1の生理機能を解析するに当たり、293T細胞にNrf1を過剰発現させて免疫沈降したサンプルを質量分析機で解析することによって、Nrf1結合タンパク質を網羅的に同定した。これらのうち、タンパク質キナーゼCK2およびE3ユビキチンリガーゼβ-TrCP2に着目してさらなる生化学的・分子生物学的解析を行なった。その結果、まず、CK2がNrf1をリン酸化することを明らかにした。このことは、Nrf1制御におけるリン酸化の重要である可能性を示しており、今後さらなる解析を行う予定である。また、β-TrCP2については、そのノックダウンによりNrf1のタンパク質安定性に変化が見られるかどうかをsiRNAを用いて調べ、β-TrCP2がNrf1の核内での分解に関与していることを明らかにした。また、Nrf1中の安定性制御に関わる領域を特定し、転写活性化能とタンパク質安定性の制御が密接に関連していることを示唆するデータを得た。Nrf1は通常小胞体に局在しており、何らかの活性化刺激を受けて核移行し、標的遺伝子の発現を誘導すると考えられるが、本研究により、このNrf1の活性化メカニズムの一端が明らかとなった。今後さらに解析を進めることによって、Nrf1シグナリングの全容と脂質代謝制御における役割が明らかになると期待される。
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