2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790254
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 大輔 Kobe University, 大学院・医学研究科, 助教 (50422415)
|
Keywords | 細胞運動 / 転移 / Rhoファミリー |
Research Abstract |
癌治療を考えるうえで浸潤・転移の抑制は最も重要な課題のひとつであり、癌細胞運動の制御はその有力なターゲットである。癌細胞運動の特徴として、癌細胞はその由来する組織や細胞の分化の程度により形態的に異なる多様な運動様式を示すこと、また同一の細胞であっても細胞外環境に応じてその運動様式を変化させることが挙げられる(。これは特定の運動様式を制御するだけではすべての癌細胞の浸潤・転移を抑制することができないことを意味している。したがって癌細胞運動の抑制を考える場合、癌細胞が示すこのような運動様式の多様性および可塑性について十分に考慮しなければならない。そこで癌細胞浸潤・転移時における細胞運動制御機構を明らかにすることを目的とし、癌細胞が示す細胞運動様式の多様性および可塑性について検討した。異なる運動様式を示す五つの癌細胞株(HT1080、U87MG、T98G、SW480、SW620)における低分子量Gタンパク質Rhoファミリーの活性を測定したところ、間葉性遊走を行う細胞株ではRacの活性が高くアメーバ様遊走を行う細胞株ではRhoの活性が高い傾向が認められた。そこでRacおよびRhoのそれぞれの運動様式における役割を調べたところ、間葉性遊走にはRacがアメーバ様遊走にはRhoのシグナルが重要であることが明らかになった。そこで間葉性遊走におけるRacの役割を調べたところ、RacはWAVE/Arp2/3の経路を介して運動先端での突起形成を制御し、また経路は不明であるが細胞基質間の接着を制御することによりスピンドル様の細胞形態の維持を担っていることが明らかになった。
|