2010 Fiscal Year Annual Research Report
カロリー制限における新規の血糖制御機構と糖毒性への小胞体ストレス反応について
Project/Area Number |
20790260
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山座 治義 九州大学, 大学病院, 講師 (30336151)
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Keywords | カロリー制限 / 老化 / インスリンシグナル / 糖代謝 |
Research Abstract |
カロリー制限は寿命の延長を示すが、その分子機構については解明されていない。カロリー制限動物はストレス耐性であり、その寿命延長機構にインスリンシグナルの関与が示唆されている。そこで、小胞体ストレスを経時的に観察できるES-TRAPマウスを用いて、血糖値や血中インスリンおよびアディポネクチン濃度を測定したところ、同マウスのカロリー制限群では自由摂食群に比べて優位に減少していた。ES-TRAPマウスにおいて小胞体ストレスのモニターとなる血清中のSEAP活性を測定したが、カロリー制限群と自由摂食群間に有意な差は認められなかった。次に、カロリー制限マウスでは摂食前では血中インスリンの腕が低下し、摂食後は上昇することから、肝臓や骨格筋、脂肪組織におけるインスリンシグナルについて検索を行った。骨格筋や脂肪組織では、血中インスリン濃度の変化に対応してインスリン受容体およびその下流のAktのリン酸化が摂食後に有意に上昇するが、肝臓ではAktのリン酸化に変化がみられなかった。また、カロリー制限マウスではインスリンシグナルの下流に位置する転写因子FoxO1の核内での発現が、摂食状態に関係なく有意に上昇していた。そこで、FoxO1のカロリー制限における役割を検索するために、FoxO1ノックアルトマウスを導入した。カロリー制限マウスでは、酸化ストレスに対する応答(FoxO1、p21の核内移行、ストレス応答遺伝子発現)は増強し、腫瘍発生頻度は減少していたが、これらの効果はFoxO1ノックアウトマウスで減弱した。よって、FoxO1は、カロリー制限における酸化ストレス応答と抗腫瘍効果に強く関与していることが推察された。
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Research Products
(15 results)