2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞極性制御因子による糸球体疾患関連蛋白質の機能制御の解析
Project/Area Number |
20790261
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
廣瀬 智威 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20381668)
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Keywords | 糸球体疾患 / 腎臓病 / 疾患モデル動物 / 細胞極性 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
日本における慢性腎臓病患者は、現在1330万人以上(成人約8人に1人)とも言われる。更に病態が進行した慢性腎不全による透析患者数は、2009年末現在29万人(全国民約450人に1人)以上に上る。その患者数は毎年約1万人ずつの増加傾向にあり、国民の医療費を圧迫する一因となっている。慢性腎不全の約80%は糸球体疾患が占めることから、糸球体疾患の病態・進展機序解明は急務の課題である。しかしながら、糸球体の構造・生理機能が極めて複雑で特殊であることから、適切な実験系の確立が困難であり、分子レベルの解析は大きく遅れている。 これまでに我々は、独自に樹立したポドサイト特異的aPKCλ欠損マウスが、腎糸球体濾過装置の主役であるスリット膜の機能不全に起因する新しいヒト糸球体疾患モデルマウスとして極めて有用であることを確認した。昨年度は単離糸球体やネフリン高発現培養上皮細胞を用いてネフリンの細胞内動態の分子機構解析を進め、細胞極性制御因子の関与を確認できた。同時に、スリット膜の構城蛋白質が積極的にターンオーバーすることにより正常なスリット膜の構造が維持されている可能性も示唆された。 並行して、ポドサイトの細胞極性シグナル異常を捉えるためのマーカー検索も進めた。その結果、培養上皮細胞における細胞極性制御因子の一つが、正常ポドサイトにおいて非常に強く発現していることを新たに発見した。更に、その正常な局在はポドサイトのaPKCに依存的である可能性も示唆されたことから、ポドサイトの細胞極性異常を評価するツールとして有用である可能性がある。
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