2009 Fiscal Year Annual Research Report
Hic-5介在サイクリンD1核局在制御による足場依存性増殖とがん化による破綻
Project/Area Number |
20790263
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森 一憲 Showa University, 薬学部, 助教 (60349040)
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Keywords | サイクリンD1 / Hic-5 / 足場非依存性増殖 |
Research Abstract |
細胞の足場非依存性増殖を誘導するがん遺伝子Cyclin D1 (D1)について、その細胞内局在が接着に依存しており、接着状態で見られるD1の核局在が、接着喪失と共に細胞質へと変化することを見出した。この接着依存性局在変化には、細胞接着斑蛋白質Hic-5が関与する結果を得た。そのメカニズムに関しては、内在性ROS産生を介してHic-5は接着依存的に接着斑と核をシャトルすることで、接着細胞内でのみD1を核に局在させるように機能していた。本研究では、その意義として、浮遊状態におけるD1の核局在を妨げ、異常な細胞増殖・生存を未然に回避する安全装置である可能性を考え、上記制御機構破綻の結果、D1の恒常的な核局在が足場非依存性増殖を誘導し、細胞のがん化に寄与するか検討した。まず、足場非依存性増殖に寄与する可能性について、浮遊状態でもシャトル可能なHic-5変異体、または核局在型D1を用いて、浮遊状態でD1を核に局在化させたところ、浮遊状態でのDNA合成能の上昇、アポトーシスの抑制が認められ、浮遊状態での生存率は増加した。また、がん化過程で破綻する可能性について、活性化rasを用いて検討したところ、D1は浮遊状態でも核に局在し、rasによる足場非依存性増殖能に寄与していることを明らかにした。D1核局在化の原因について、D1核局在制御機構であるHic-5のシャトル能がrasシグナルにより変化した可能性を検討したが、rasによる影響はなく、別の機構によるものと考えられた。本研究では、接着依存性D1核局在制御機構について、Hic-5のRos感受性シャトル機構が関与するメカニズムを示し、さらに、そのメカニズムと細胞増殖の足場依存性の制御機構、及びその生物学的意義として細胞のがん化過程との関連性を検討した。その結果、Hic-5によるD1核局在化機構は、接着細胞でのみD1の核局在を許容することにより、足場非依存的な増殖を妨げ、細胞増殖の足場依存性を保障する機構であることが示された。
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Research Products
(3 results)