2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト正常上皮細胞におけるp53-Notch1経路の破綻とがん化
Project/Area Number |
20790265
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
温川 恭至 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, ウイルス部, 研究員 (80311372)
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Keywords | 発がん / がん抑制遺伝子 / 転写調節 / ゲノム傷害 / 細胞分化 |
Research Abstract |
Notch1による細胞増殖抑制効果は、子宮頸がん以外でも肝細胞がん、小細胞肺がん、前立腺がん等においても報告されている。本研究より、子宮頸部や皮膚に由来する角化細胞、細気管支上皮細胞、気管支上皮細胞など種々のヒト正常上皮細胞に活性型Notch1を外来導入した場合、顕著な細胞増殖抑制が引き起こされた。また、p53温度感受性変異体を種々の正常上皮細胞に導入し解析したところ、p53の活性に依存してNotch1の発現が観察された。子宮頸部や皮膚に由来する角化細胞においてRNA干渉法を用いて内在性p53をノックダウンしたところ、Notch1の発現低下が観察された。このp53によるNotch1の発現制御は転写レベルで行われており、Notch1プロモーターのリポーターアッセイ並びにクロマチン免疫沈降法を用いた解析により、Notch1プロモーター内にp53応答配列を同定しNotch1がp53の標的遺伝子であることを見出した。正常上皮細胞において、ゲノム傷害時の細胞増殖抑制がNotch1の発現誘導に依存しているか否か検討するため、p53ノックダウン細胞、Notch1ノックダウン細胞を作製し比較検討を行った。その結果、Notch1のノックダウンによりp53の活性化を介した細胞増殖抑制が有意に回避されることが判明した。さらにゲノム傷害時に活性化したp53がNotch1の発現誘導により文化を促進することを見出した。 以上の結果から、異なる複数のヒト正常上皮細胞においてp53-Notch1経路が保存されており、ゲノム傷害時に分化誘導を介した細胞増殖抑制を引き起こすことを明らかにした。
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Research Products
(13 results)