2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた新生児~乳児期発症の難治性てんかん責任遺伝子の同定
Project/Area Number |
20790267
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
才津 浩智 Yokohama City University, 医学部, 助教 (40402838)
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Keywords | ゲノム / てんかん / 乳児 / 太田原症候群 / STXBP1 |
Research Abstract |
平成20年度の研究で、マイクロアレイによる染色体構造異常のスクリーニングを30症例で行い、女児症例における第9染色体長腕(9q33.3-q34.11)微細欠失の同定を通じて、大田原症候群の原因遺伝子STXBP1を世界に先駆けて報告した(Saitsu et al., Nature Genetics, 2008)。この発見は、シナプス小胞の開口放出障害が新生児~乳児期発症の難治性てんかんの病態に関与していることを強く示唆しており、全く新しいてんかんの発症機序を提唱するものであった。平成21年度は、上記の女児症例における第9染色体長腕(9q33.3-q34.11)微細欠失の再評価を行うことで、髄鞘化遅延を伴うWest症候群患者における遺伝子Aの変異を同定した(論文投稿中)。この発見は、West症候群の発症メカニズムの一端を明らかにする研究成果である。また、シナプス小胞の開口放出に関与する遺伝子群を候補遺伝子とした変異解析を、新生児~乳児期発症の難治性てんかん患者で行い、複数の遺伝子で興味深い変異を同定している。現在、ご両親の検体を依頼しており、新生突然変異かどうかの確認を急いでいる。STXBP1の変異解析も大田原症候群患者を対象に行い、新たに10名において変異を同定した。これまでに見つかったミスセンス変異の他に、ナンセンス変異やフレームシフト変異、スプライシングに異常をきたす変異などが見つかった。これらの変異が起こった遺伝子座は、正常のSTXBP1蛋白質を作ることができないと考えられるため、STXBP1のハプロ不全によって大田原症候群が引き起こされることが遺伝学的にも明らかになった。
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